2006年1月14日土曜日

気功と太極拳の関係

 太極拳は気功と武術の2面を持っており、気功の側から見れば太極拳は全て気功であり、武術の側からみれば太極拳は全て武術です。言い換えれば気功をベースとした武術とも言えます。

 胡耀貞の気功の本によれば気功には下記3分類されます。


  1. 築基功基礎となる気功で健康維持であろうが、病気治療であろうが、必ず練習しなければならないもの。この気功は各人の気を増大させる事になる。
  2. 分症功:各個人の体質、病状等により異なる方法を用いるもの。
  3. 保健功:健康維持の為に行う。各自の気を動かし循環させる事が主眼となる。

 気功からみた太極拳の套路は上記の保健功が中心の役割となっていますが、一方太極混元内功という気功は主として上記の築基功にあたり混元気(内気)の形成が早く行われます。但し、套路は混元内功と比べてスピードが遅いとはいえ築基の要素もあり、套路を数多く練ると混元内功を練るのと同様に丹田に混元気(内気)が出来てきます。この混元気が太極拳としての威力に直結してくるのでこの形成は非常に重要です。従い、馮門下では先ず太極混元内功を十分練り、太極拳の套路を行います。

 さて、ここで混元気がどうして威力に直結してくるのでしょうか?それには気と勁(透明な力)の関係を知る必要があります。即ち、気と勁は体と用の関係にあり、強大な勁を得るには強大な気が必要となってきます。従い、太極拳を行うものは内功(套路も含む)を練る事でこの強大な気と勁を獲得しようとするのです。

 では太極拳で必要としている気とは内気(混元気)だけでしょうか?実は混元太極拳に於いては外の気である外気?(造語)も必要となってきます。この外気とは気膜の事です。気膜は相手が触れる際に相手の力を無力化するのに貢献します。又良い意味での副作用として気膜が形成されると風邪をひきにくくなります。この気膜も混元内功で容易に形成されますが、套路では形成しにくい特徴があります。従い套路を多く練って内気はあり、拳の威力もあるが風邪をよく引く人を中国でも見かけますが、これは混元内功、又は混元内功に相当する内功が無い為に生じる現象と言えるでしょう。混元内功を一定の期間(3年が目途)練ってくると本当に風邪をひかなくなってきます。実際、馮老師及び馮老師の高弟で風邪をひいたと聞いた事、見た事が殆どありません。

 では現在馮門下で練っている混元内功はどこから来たのでしょうか。実は陳発科老師の陳式太極拳に伝えられている築基の内功と胡耀貞老師が伝える築基の内功を整理、編纂されたものが現在行われている混元内功という気功です。

 因みに混元太極拳では内気、外気を含む混元の一気を形成する事を一つの目標としています。